私は、広告を眺めながら「そんな餌で俺様が釣られクマー…」
……
はっ! い、いつの間に…
気づいた時には私はその門をくぐり、既に敷地に足を踏み入れていた。 表札には「ク○ン・ド・ぱふぱふ」とある。
説明文には
● 下ネタ大丈夫な方大募集!
● 毎日やります!!
と、下半身直撃の過激な文言が並び、まあ、そういう事だ。
この蠱惑(こわく)的な檄文が欲求不満を抱えた若者たちの如意金箍棒(にょいきんこぼう)をいたく惹きつけたのか。 たった三人での立ち上げからまだ一週間も経っていないというのに、クランは既に定員枠いっぱいの満員の盛況となっていた。
聞けばこのクランの創設メンバー三人は、セクハラ下ネタチャットが過ぎて、過去に某クラン ―― ここでは仮に“阿吽(あ・うん)”としておこう ―― から三人まとめて追放されたという壮絶な過去を持つ。(どこかで聞いたような話だ… しみじみ)
失意の彼らは、だがしかし決して自らの理想郷を諦めてはいなかった! 同じような経緯でまた他のクランをまとめて叩き出された紆余曲折の末、炎々と燃えしきるリビドーの赴くままこの地に導かれ、ついに桃源郷とも呼べるこの新クランを旗揚げするに至ったのだ。
(しかも、クラチャの噂によると、リーダーS(仮名)とサブリーダーM(仮名)のふたりは過去に、BL的なリアル男色の展開もあった模様)
閑話休題。
現在、中華民国を相手に一戦交えている彼らは、ただ今は「踏平小日本」というケシカラン名の村を南京大虐殺よろしく壮絶に蹂躙中だ。
飢えた男たちがとっかえひっかえ、次々と容赦なく村の女たちに襲い掛かる… 城に隠れ潜んでいた女たちは皆引きずり出され、なすすべもなくその生足を開かれ……ゴクリ。
もはや、対戦の勝ち負けなどは関係ないようだ。(もう逆転不可能なくらい負けてるし…)
いたずらに敵対的な感情をむき出しにしたその名前の報いというべきか、歴史的な遺恨をゲームの世界に持ち込むとこうなる、という悪い見本ではある。
「毎日ヤる」との宣言通り、この戦いが終わり次第すぐにまた、クランは次の戦場へと向かうらしい。 明日には私もこの狂気じみた戦い、いや、もはや戦争とは呼べないこの生贄の儀式に列することになるのだ。 その時には私も彼ら同様、下半身に眠れる飢えた獣性を開放し、色欲狂いの一兵卒となり果ててしまうのだろうか…
これこそが、はたして追い求めていた伝説のクランなのだろうか? 今はまだ、クランの真の姿は見えてこない。
(続く)
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