その門の前に佇むと、長い長い旅路でのさまざまな(主にえっちな)想い出が走馬灯のようによみがえってくる。
入り口に掲げられた名札に刻まれている懐かしい面々の名前を、ひとつひとつ確認していく。 鬼籍に入ったものか、何人かの中核メンバーの名前は既に失われていた。
クラン説明文にある「良識を守りましょう」の一文は、(どうかんがえてもコレ、asd 除けのためだよね…)などと考え [参加する] ボタンを押すのを一瞬、躊躇(ためら)う私であった。 でも、もう来ちゃったしね…、ぽちっとな…
ほどなく、あっけないほどにすぐに入隊を許可された私を迎えたのは、漂泊者の帰還を歓迎する暖かい言葉の数々であった。
「アサダチさん、お帰りなさい。おひさしぶりですね。」
「アサダ○さん、おかえりなさーい」
なぜか以前とは呼び名が異なっているようにも思えるが、そこは気にしない事としよう…
だが、変わらない部隊の雰囲気にホッと胸をなでおろしたのも束の間、翌日、クランは突如、その表情を豹変させた。
この吹き荒(すさ)ぶ嵐は誰が呼んだのか。 クランは再び激動の大きなうねりへと舵を切り始めていた…
先の部隊解散のごたごたの後、このクランは日々の軍の運用において(慢性的な兵力不足から)援軍支援がなかなか集まらない、という頭の痛い問題に直面していた。 この兵力の不足を補うため、今日、指導部はついに大規模な新兵募集に向けて動いたのだ。
入隊時の承認制を廃止し広く門戸を開き、あらゆる志願兵を徴兵検査もなしにそのまま採用する、という超大胆な採用プランだ。 どんな変てこりんな人物が入隊してくるのか、それは誰にもわからない。 非常にリスクの高い劇薬である。
更には説明文の冒頭に「初心者歓迎!」を掲げ、イケメン渡部豪太のTVCMに釣られてゲームを始めたばかりの初心者女子までをも取り込もうという下心もある。(たぶん)
その甲斐あって、わずか半日後にはクランはその半数が初心者(内、女子推定ゼロ)という大所帯に変貌していた。 新兵採用に向けた指導部の読みは見事に的中したのだ。
新たにクランに入ってきた彼らにとっては、対戦はおろか、援軍のやり取りもむろん初めての経験♡だ。 禁止兵種など知ったことではない。 ゴブリンが援軍に大活躍し、意味不明のメッセージが飛び交う混乱の最中(さなか)、クランは不安を抱えつつも、待ったなしで新たな対戦へと突入していった…
このクランがかつて経験したことのない、低次元、もしくは異次元での対戦の幕は切って落とされた。 それは、おそらくは、私が旅の先々で数知れず目撃してきたあの光景をなぞる過程の最初の一歩となるはずだ。
その道行(みちゆき)では、数多くの落伍者を生み、そしてそれを上回る数多(あまた)の若者の命が失われていくことだろう。 そうして生き残ったものだけが明日の朝立ちを迎えることができるのだ…
若人たちよ、君たちは果たして生き残ることができるだろうか?
彼らには與謝野晶子の歌ったこの詩篇を贈りたい。「君死にたまふこと勿れ」
(続く)
更には説明文の冒頭に「初心者歓迎!」を掲げ、イケメン渡部豪太のTVCMに釣られてゲームを始めたばかりの初心者女子までをも取り込もうという下心もある。(たぶん)
その甲斐あって、わずか半日後にはクランはその半数が初心者(内、女子推定ゼロ)という大所帯に変貌していた。 新兵採用に向けた指導部の読みは見事に的中したのだ。
新たにクランに入ってきた彼らにとっては、対戦はおろか、援軍のやり取りもむろん初めての経験♡だ。 禁止兵種など知ったことではない。 ゴブリンが援軍に大活躍し、意味不明のメッセージが飛び交う混乱の最中(さなか)、クランは不安を抱えつつも、待ったなしで新たな対戦へと突入していった…
このクランがかつて経験したことのない、低次元、もしくは異次元での対戦の幕は切って落とされた。 それは、おそらくは、私が旅の先々で数知れず目撃してきたあの光景をなぞる過程の最初の一歩となるはずだ。
その道行(みちゆき)では、数多くの落伍者を生み、そしてそれを上回る数多(あまた)の若者の命が失われていくことだろう。 そうして生き残ったものだけが明日の朝立ちを迎えることができるのだ…
若人たちよ、君たちは果たして生き残ることができるだろうか?
彼らには與謝野晶子の歌ったこの詩篇を贈りたい。「君死にたまふこと勿れ」
(続く)
0 件のコメント:
コメントを投稿